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1987年Mouret(仏)により最初の腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われて以来、腹腔鏡下手術は世界中で爆発的に普及し、胆嚢にとどまらず今やほぼすべての腹部臓器を対象とするようになりました。それと並行して胃カメラや大腸カメラを使った治療(大腸ポリープ摘出手術など)も大きく発展してきました。そして近年、Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery(NOTES)に関する実験や臨床報告が見られるようになってきました。
NOTESとは、胃カメラや大腸カメラを、体の表面にもともと存在する口、肛門、膣、尿道などから入れ、さらに胃や大腸の壁を貫いてお腹の中(腹腔)まで到達させ、腹腔内臓器の診断や治療を行うという、現状では実験段階の技術です。腹腔鏡下手術の技術とカメラを使った治療の技術が融合したものといえるでしょう。
現在、NOTESに用いられる内視鏡のアプローチ法として、胃を経由する方法、肛門を経由する方法、膣を経由する方法などが検討されています(図1)。

体の表面に傷が全くつかないのがNOTESの大きな利点です。美容的に優れているだけでなく、通常の手術のような腹壁の感染やヘルニア、癒着などの合併症をなくすことができると考えられています。免疫や炎症の反応が非常に軽いという報告もあります。手術をするのが大変な高度な肥満の患者さんにも比較的容易に行うことができそうです。つまり、NOTESの最大の利点はその低侵襲性にあるといえます。
しかし、NOTESにもいくつかの欠点があります。実は現在用いられている胃カメラや大腸カメラは、NOTESを行うには今一つ力不足なのです。暗い光、狭い視野、姿勢保持が難しいことなどが問題点です。また、胃カメラや大腸カメラで通常使用する鉗子は腹腔鏡下手術で使用される鉗子よりも小さく、操作が難しいという大きな欠点もあります。胃や大腸に人為的に穴をあける(胃や大腸が破れたのと同じこと)のですから、あけた穴を確実に閉じることができなかった場合は、腹膜炎や敗血症などの重篤な病態を引き起こしかねません。現状では胃カメラや大腸カメラ用の鉗子を用いて、あけた穴を確実に閉鎖することはできません。
そこで、CAMITではNOTESが近い将来日常診療として行われるようになるために、高性能の鉗子と超音波診断・治療装置を装備する内視鏡ロボットの開発を行っています(図2)。
また、胃や大腸の壁を閉鎖するための器具も開発に向け研究しています。内視鏡の狭い視野を補うためのNOTESのためのナビゲーションやナビゲーション下手術ロボットシステムの開発も進めています。NOTESを行う医師のトレーニングも欠かせません。CAMITではNOTESの基礎的技術である内視鏡鉗子の操作技術のトレーニングを毎月一定のカリキュラムに従って行っています(内視鏡外科手術トレーニングセンター)。

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